数学的モデル化:中心極限定理
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数学的モデル化:中心極限定理
5章と6章の結果から、送信情報と受信情報が一致する確率は、盗聴がない場合に0.75であり、盗聴がある場合は0.625であることがわかりました。それでは、両者を見比べて結果的にビットが一致していた時に、これは盗聴があったと判断すべきでしょうか、なかったと判断すべきでしょうか。それはもちろんわかりません。どちらもありえることです。結果的にビットが一致していない場合も、同じことです。
では、同じ条件(盗聴がないかあるか)で8回送ったとしましょう。その中で6回は送信情報と受信情報が一致し、2回は一致しなかったとします。8回のうち6回合ったのですから、一致的は0.75です。5章のPと見事一致します。じゃあ盗聴はなかったんだ。そう結論づけてしまっていいでしょうか。
答えはノーです。あくまで確率ですから、盗聴があったとしても、実際に一致するのは、確率通り8回のうちの5回とは限りません。たまたま6回一致したり4回しか一致しない場合も当然ありえます。硬貨を4回投げて、表が出た回数が2回でなく3回だったとしても、特に不思議がる必要はありませんね。それと同じことです。
それでは80回送ったとしましょう。その中で58回一致したとします。一致率は0.725で、0.75よりは多少低いのですが、0.625よりはずっと大きい値です。この場合、8回送って6回一致した場合と比べて、盗聴がなかったとみなすのはある程度合理的なのです。硬貨を400回投げて300回近く表だったら、さすがに何かおかしいかな、と考えますね。それと基本的には同じことです。
実は確率論の世界には中心極限定理というものがあります。一回ごとに独立で生起確率がわかっているある事象に対し、その試行回数を増やすと、観測される生起率は、その生起確率からほとんどはずれなくなっていくのです。つまり、何百回もやって一致率が0.75に近ければ、それは元々の確率が0.75だった、つまり盗聴はなかったと、まず間違いなく結論付けられるのです。そしてその「間違い」の確率は、試行回数が増えるに従って、限りなくゼロに近づいていくのです。
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